2019.08.20
選ばれるためにすべきこと・・2019年9月【時局】に掲載
この度、2019年9月号の【時局】名古屋発に掲載して頂きました。(記事内容は下記になります。)
愛知県刈谷市にある「引越一番」という引越会社が、面白いサービスを始めました。
LINEで簡単に引越しの見積もりができる、<フォト見積もりサービス>です。
操作は簡単で、まずLINEで(引越一番)のアカウントと友達登録をします。
次に『フォト見積もりサービス』をタップして、現住所と引越し先の住所を送信します。
その後に写真を送信すれば、24時間以内に見積もりの概算を返信してくれるというサービスです。
送信できる写真が5枚までなので、単身赴任の人や1人暮らしの人カップルやご夫婦2人など、
小人数の引越しには便利です。
インターネットで調べて見積もりを取り、さらに来店してより詳しい見積もりを取り、いくつかの中
から決めるという通常のプロセスは、思ったよりも時間や手間がかかります。
その点、この前半の部分をかなり省略して、しかも好きな時間に送ればいいので、お客さま側から
すると時間と手間の節約になります。
お客様は「価値がある」ものに対してお金を支払います。 したがって、価値が同じような「物」や
「サービス」で勝負していると「安い方でいいわ」と値段だけで選ばれてしまうのです。
これが「価格競争」です。
この価値とは、お客様が得ることが出来る利益と失う犠牲の「ギャップ」、すなわち「利益÷犠牲」
という、割り算で計算ができます。 洋服店で「どこに商品が売ってるかわからない」という
お客様が感じてる手間とか、ネット通販で「検索しないと欲しい商品が出てこない」といった
イライラ感、また飲食店での「ランチにあるラーメン屋さんに行きたいけど、この時間だと
30分待ちだな」という心理的なストレスなどが、お客様が感じる犠牲になるのです。この
犠牲を減らすことでもお客様は、価値を感じるのです。 引越一番のフォト見積もりサービスでは、
見積りにかかる電話の時間やネット入力の面倒な手間という犠牲がを減らすサービスになっています。
私達は、「これ、いいですよ!」という利益の提供に気が回り、お客様が知らず知らずのうちに
感じている犠牲を忘れがちです。 たまに自社のサービスや商品について、お客様が買う時や
試す時に、不便に思っていないかどうかをチェックする事で十分差別化でき、選ばれる企業や
ブランドになる事ができるのです。
マーケティングアイズ株式会社 代表取締役 理央 周(本名:児玉 洋典)
関西学院大学経営戦略研究科准教授